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トップレポート「人と会うことにノウハウが必要な時代」

  • 業種 病院・診療所・歯科
    介護福祉施設
    企業経営
  • 種別 レポート

人と会うことにノウハウが必要な時代

株式会社日本経営 / 取締役 橋本 竜也

コロナ禍で進んだ在宅ワーク

新型コロナ禍により急速に在宅ワークが広がり、1年を過ぎようとしています。現在、第4波の中でも徹底した在宅ワークが求められています。

在宅ワークではオンラインミーティングが多用され、その効果も認められています。

「やってみたら思ったほど困らなかった」「実は生産性が上がった」「もう全部リモートで問題ない」といった声も多く聞かれます。

ただ、こうしたテクノロージーの導入とその効果を正しく評価する一方で、冷静にデメリットを検証することも必要ではないでしょうか。実は在宅ワークでは生産性の低下やミスの増加が認められるといった研究も出てきています。

脳科学の分野からも様々な研究が進んでいます。オンラインミーティングでは、通常のミーティングよりも疲れるといった印象はありませんか?

これは脳が疲れるからなんですね。対面のミーティングよりも脳は3倍疲れるといった研究もあります。

オンラインミーティングの課題

私はオンラインミーティングの課題として、相手の気持ちを汲み取る力が低下したり、気持ちを理解するために対面以上に苦労することがあるのではないかと懸念します。

人は相手の言葉だけではなく、表情、目線、しぐさ、声の調子、全体の姿勢、さらにはその人に対する周囲の反応などの情報を集め、それらを総合して相手の気持ちを理解しようとします。オンラインミーティングではそうした情報が限定的になったり、クリアに伝わらなかったりします。

そのため、相手の気持ちを理解することが重要なミーティングの場合は、相手の気持ちを理解するためにすごく神経を使って疲れたり、十分に相手の気持ちを汲み取れずに心理的な齟齬が生じてしまうことがあると思います。

脳科学の分野では相手の気持ちを理解するうえで必要なミラーニューロンという神経細胞が、モニターやスクリーン越しでは対面ほど活性しないという説もあります。

企業としてのスタンスを明確にする時期

在宅ワークやオンラインミーティングが一気に進み、約1年が経ちました。もはや「やっぱり、コミュニケーションは対面じゃないと」なんて言うと、時代遅れ扱いか、よほどITリテラシーが低いか、場合によってはほとんど反社会的な扱いを受けてしまうことさえあります。

しかしながら、各企業は冷静に在宅ワークやオンラインミーティングのメリット・デメリットを評価して、そろそろ企業としてのスタンスを明確にしなければならない時期を迎えるでしょう。すでにオフィスを返上した企業の事例もマスコミで取り上げられるようになりました。経営者はどのような方針を示すべきでしょうか。

オンラインなのか、対面なのか。どちらか一方ではないというご意見も多いと思います。使い分けだという方もいるでしょう。使い分けなら、どのように使い分けるのか。医療関係者の方々の場合は、オンライン診療の問題もあります。

人と会うことにノウハウが必要な時代

果たして我々日本経営グループはどうするのか。私は「在宅ワークの環境を最大限に充実させ、オンラインミーティングのためのテクノロージーを徹底して活用したうえで、それでも対面にこだわる」と考えています。

気持ちを通い合わせるベストの方法は対面で、オンラインはベター。状況によってベターを選択しなければならないことはありますが、対面がベストなのであれば、そこにこだわる。在宅ワーク、オンラインミーティングの環境を最高の状態にしたうえで、どうすれば対面が可能なのかを考え続け、対面のノウハウも積み上げていく。

まさか人と会うことにノウハウが必要な時代が来るとは思いませんでした。ノウハウは断絶すると回復するのに時間がかかります。一度対面は不要として一定の時間が過ぎると、いざ対面のコミュニケーションをとろうとしてもそう簡単にできなくなるでしょう。今まではオンライン対応のハードルがありましたが、対面導入のハードルが出てきそうです。

まさに経営方針の決め時になってきています。

皆さんの組織では、どうされるでしょうか。正解がない問題に答えを出していく、まさに経営だと思います。

このレポートの解説者

橋本竜也(はしもと たつや)
株式会社 日本経営 取締役

入社以来、人事コンサルティング部門にて、一貫して病院・企業の人事制度改革に携わる。2006年には調剤薬局に出向し、収益改善と組織改革を実現。コンサルティングにおいては、人事改革、組織改革のほか、赤字病院の経営再建にも従事。2013年1月福岡オフィス長に就任。2017年10月より株式会社日本経営取締役。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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